【ダイエツ便り】粟島がくれる静かな贅沢

皆さんは「粟島」という島をご存じでしょうか。

新潟県の離島といえば佐渡島が有名ですが、村上市の沖合にひっそりと浮かぶ

人口わずか300人ほどの小さな離島、それが粟島です。

先日、私はこの粟島を訪れてきました。

 

岩船港からフェリーに揺られること約1時間半。

水平線の向こうに浮かんでいた島影が、次第に輪郭を帯び、

緑深い山並みと、青い海に抱かれた漁村の姿となって眼前に迫ってきます。

 

 

フェリーは中心集落である内浦地区の港に着岸。

この内浦地区には役場や商店、小中学校などが集まり、島の暮らしの拠点となっています。

 

私は観光案内所で自転車を借り、思い切って島を一周してみることにしました。

海岸線の道は起伏が激しく、電動アシスト自転車でなければ上るのに苦労するほど。

それでもペダルを踏みしめるたびに視界が開け、切り立った絶壁の上から望む紺碧の日本海や、

日本で一番海に近い牧場、日本海の荒波が生んだ奇岩の数々といった胸を打つ景色が広がっていました。

 

島のもう一つの集落、釜谷地区では、島のおばあちゃんが切り盛りする小さな食堂に立ち寄り

名物の磯ラーメンをいただきました。

磯の香り豊かな海産物の旨みがたっぷり溶け込んだスープは、疲れた身体に染み渡る一杯でした。

 

 

さらに島の北側へ足を延ばすと、そこには人影のない世界が広がっていました。

2時間ほど誰ともすれ違わない「孤独のサイクリング」でしたが

波の音だけが響く世界で絶景を独り占めするひとときは、言葉にできないほどの贅沢でした。

山中でクマに遭う心配がないという安心感も、離島ならではの魅力かもしれません。

 

「小さな島」という先入観を抱いて訪れましたが、実際に一周してみるとおよそ20km。

走り終えるころには「意外に大きく、豊かな表情を持つ島」だと実感しました。

 

お土産には、粟島の日本酒と名産のじゃがいもで作られた焼酎を購入。

帰路の船内で島影を眺めながら、「また訪れたい」と心から思いました。

 

日常から少し離れて、心が解き放たれるような時間に出会える粟島。

皆さんもこの島に足を運び、静けさと豊かさを味わってみてはいかがでしょうか。

 

N.I